治験データと安全神話のギャップ

 ネットには、ベンゾジアゼピンやSSRIの安全性を強調したサイトが氾濫しています。
 そして、病院へ行くとまず例外なく薬が処方されます。 しかし、精神科領域の薬に、安易に処方して良い薬など存在しません。
 100万人に処方されるパキシルの医薬品添付文書には、まず赤枠に囲まれた警告が記載されています。
7〜18歳の子供への有効性が確認されず、自殺リスクが増加する。 とあります。ある他科の医師の話では、赤枠警告は、よっぽどの事だと云っています。

 さらに、使用上の注意や副作用発現率、重大な副作用の項を参照されたい。(副作用発現率はなんと68.5%)これらの情報は、治験データや海外での情報の更新に応じて改定されています。
 留意頂きたいのは、これらの治験は長くて3カ月程度の調査であり、長期服用の効果・副作用は殆ど考慮されていないということです。
 薬と云うものは、プラセボ50%に対して60%の効果(パキシルの大うつ病患者に対する治験データ)があれば承認されます。つまり、10人の内1人の人にしか効果が無くても承認されるのです。それに対して、その他の人々が、ただ、副作用リスクにさらされていると云う事です。
 パキシルについては、CYPの項、SSRIの項を参照ください。
 こんなものを、リスクの説明もせず、安全だと処方して良いのでしょうか? こうした指摘にたいする精神科医からの良くある反論は、 副作用を説明すると、患者が適切な治療を拒否することに繋がりかねない。 という詭弁です。これは、EBMの精神に反します。
製薬会社は、薬を安全だとは一言も云っていません。これを安全だと宣伝しているのは、医師やその周りの人々です。 ベンゾジアゼピンやSSRIの安全神話には、なんの科学的な根拠はありません。


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